結論:荷物が壊れた・なくなったら
  • 国の標準引越運送約款では、荷物の一部がなくなったり壊れたりしたときは、荷物を受け取った日から3か月以内に業者へ通知しないと、業者の責任がなくなる(第25条)
  • 業者は、注意を怠らなかったことを自分で証明しない限り、賠償する責任がある(第22条)
  • 気づいたら、日付のわかる写真を撮って、すぐに業者へ連絡する
  • 話がまとまらないときは、消費者ホットライン「188」へ

引越しのあと、「家具に傷がついていた」「段ボールがひとつ足りない」と気づくことがあります。国民生活センターにも、引越業者に壁や家具に傷をつけられた、荷物がなくなったといった、傷や紛失とその補償の相談が多く寄せられています。

荷物の補償には期限があります。あとで困らないように、ルールと、やることの順番を整理しました。

※この記事は、国土交通省の「標準引越運送約款」と、国民生活センターの案内をもとにしています。引越し業者によっては、自社の約款を使っていることもあるので、業者から受け取った約款も確認してください。

荷物が壊れたときの期限の図。引越しの前に荷物や部屋の写真を撮り、傷のトラブルに備えて引越し前の状態を記録しておく。荷物を受け取ったら、すぐに開けて確認し、壊れた・なくなったものがあれば日付のわかる写真を残す。受け取った日から3か月以内に引越し業者に通知する。過ぎると業者の責任が消滅する(標準引越運送約款第25条)

補償の期限は「受け取った日から3か月」

標準引越運送約款の第25条には、次のように書かれています。

荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から三月以内に通知を発しない限り消滅します。(標準引越運送約款 第25条)

「滅失」はなくなること、「き損」は壊れることです。つまり、荷物を受け取った日から3か月以内に業者へ伝えないと、補償を求められなくなるというルールです。

期限内容約款
受け取った日から3か月以内荷物の一部がなくなった・壊れたことを業者に通知する第25条
受け取った日から1年業者の責任が時効で消える第27条

ただし、業者がその損害を知っていたのに荷物を引き渡した場合は、3か月のルールは使われません(第25条第2項)。

段ボールを開けないまま3か月たたないように

引越しのあとは忙しく、使わない荷物の段ボールをしばらく開けないこともあります。壊れやすい物や大事な物が入った箱は、早めに開けて中身を確認しておきましょう。

業者はどこまで責任を負う?

業者が「注意していた」と証明できなければ、賠償する

約款の第22条では、業者は、荷造り・受け取り・引き渡し・保管・運送で注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物などがなくなったり壊れたりしたことについて、損害を賠償するとしています。

「業者のせいだと証明しなければいけない」のではなく、業者のほうが「ちゃんと注意していた」と証明できなければ、賠償するというしくみです。

補償されるのは「直接生じた損害」

第26条では、荷物がなくなったり壊れたりしたことで直接生じた損害を賠償するとしています。具体的な金額は、業者との話し合いで決めることになります。

壁や床の傷は?

第22条は「荷物その他のもの」の滅失・き損についての責任を定めています。国民生活センターにも、業者が養生をせずに運び出したため、廊下や階段のクロス、床やドアに多くの傷がついた、という相談が寄せられています。

賃貸の部屋で、引越し作業でついたひっかき傷は、退去のときに借主の負担になります(賃貸の退去と原状回復)。作業の当日に傷に気づいたら、その場で業者に伝えておきましょう。

壊れていたときにやること

  1. 写真を撮る:壊れた物、傷の場所、段ボールの外側(へこみや濡れ)を、日付がわかるように撮ります
  2. 業者にすぐ連絡する:電話で伝えたうえで、メールや書面でも送っておくと、いつ通知したかの記録が残ります
  3. 壊れた物は捨てない:業者が確認することがあるので、話がつくまで保管しておきます
  4. 見積書・約款を手元に用意する:契約した内容や、業者の約款を確認できるようにしておきます

連絡するときは、「いつ受け取った荷物か」「何が、どのように壊れていたか」「いつ気づいたか」を伝えると、話が進めやすくなります。

引越しの前にできる予防

国民生活センターは、傷や故障のトラブルに備えて、引越し前後の状況を記録しておくようすすめています。

  • 家具・家電の写真を撮っておく:大きな家具や家電は、引越し前の状態を撮っておくと、傷がいつついたかの説明に使えます
  • 部屋の写真も撮っておく:旧居・新居の床や壁も、作業の前に撮っておくと安心です(入居時の写真の撮り方)
  • 約款と見積書を読んでおく:国民生活センターは、業者から渡される約款や見積書をしっかり読み、わからない点は事前に確認するよう案内しています
  • 貴重品や壊れやすい物は自分で運ぶ:現金やアクセサリー、思い出の品などは、自分で持って移動すると安心です

見積もりの段階で確認しておきたいことは、引越し業者の見積もりの取り方にまとめています。

話がまとまらないときは

業者と話し合っても解決しないときは、消費生活センターに相談できます。消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの相談窓口につながります。国民生活センターも、不安に思ったときやトラブルがあったときは、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談するよう案内しています。

よくある質問

3か月を過ぎてから気づいたら、もう補償されない?

標準引越運送約款では、3か月以内に通知しないと業者の責任はなくなります。ただし、業者がその損害を知っていたのに荷物を引き渡した場合は例外です(第25条第2項)。まずは業者に連絡して、事情を伝えてみましょう。

自分で荷造りした段ボールの中身が壊れていたら?

業者の責任は、荷造り・運送などで注意を怠らなかったかどうかで判断されます(第22条)。自分で詰めた箱の場合は、詰め方も確認されることがあります。割れ物は緩衝材で包み、箱に「ワレモノ」と書いておきましょう。

引越しをキャンセルしたら、料金はかかる?

標準引越運送約款では、見積書に書かれた荷物の受け取り日(引越しの日)の前々日・前日・当日に解約や延期をしたときに、解約手数料・延期手数料がかかることがあります(第21条)。くわしくは引越し業者の見積もりの取り方にまとめています。

まとめ

  • 荷物の一部がなくなった・壊れたときは、受け取った日から3か月以内に業者へ通知する(標準引越運送約款 第25条)
  • 業者の責任は1年で時効になる(第27条)
  • 業者が「注意を怠らなかった」と証明できなければ、賠償する責任がある(第22条)
  • 気づいたら、日付のわかる写真を撮り、メールや書面でも連絡して記録を残す
  • 引越し前に家具や部屋の写真を撮っておくと、トラブルの予防になる
  • 話がまとまらないときは「188」

あなたの引越し日での手続きの期限は、診断を使うと、ほかの手続きとまとめて日付つきで確認できます。

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参考:国土交通省「標準引越運送約款」/国民生活センター「引越トラブルにご注意」