結論:入居時の写真はこう撮る
  • 荷物を入れる前に、部屋ごとに写真を撮る
  • 国のガイドラインも、入居時の確認に写真などを使うことを重要としている
  • 傷や汚れは、どこにあるか分かる写真と近くで撮った写真の2枚を撮る
  • 見つけた傷は管理会社に伝えて、写真は退去のときまで保存する

賃貸の退去のときに、「この傷は入居前からあったのに……」と困る人は少なくありません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、トラブルの大きな原因として、次のように書いています。

原状回復をめぐるトラブルの大きな原因として、入居時及び退去時における損耗等の有無など、物件の確認が不十分であることがあげられる。(国土交通省 原状回復ガイドライン)

入居したときの部屋の状態を写真で残しておくだけで、退去のときの話し合いがずっと楽になります。撮る場所と撮り方を、チェックリストにまとめました。

入居時に写真を撮る場所の図。荷物を入れる前に部屋ごとに撮る。玄関・廊下はドア・鍵・床・壁・下駄箱、台所・居間は床・壁・流し台・換気扇・コンロ、浴室は浴槽・床・壁・ドア・換気扇、洗面所は洗面台・洗濯機置場・床、トイレは便器・タンク・床・壁、個室は床・壁・天井・押入れ・建具、その他はエアコン・コンセント・ベランダ。傷や汚れは、どこにあるか分かる写真と近くの写真の2枚を撮る

なぜ入居時の写真が大事なの?

ガイドラインは、入居時と退去時にチェックリストを作り、部屋の場所ごとの傷や汚れの状態を、貸主と借主が立ち会って確認することが必要だとしています。そのうえで、次のようにも書いています。

具体的な損耗の箇所や程度といった物件の状況を平面図に記入したり、写真を撮るなどのビジュアルな手段を併せて活用することも重要である。(国土交通省 原状回復ガイドライン)

こうしたチェックリストなどは、あとでトラブルになったときに証拠資料になりうるとされています。

退去のときに払うのは、わざとや不注意でつけた傷など、借主の責任でできた傷みです。家具のへこみや日焼けなど、ふつうに暮らしてできた傷みは貸主の負担です(賃貸の退去の立ち会いと原状回復)。入居前からあった傷を写真で示せれば、自分がつけた傷ではないと説明しやすくなります。

いつ撮る?「荷物を入れる前」がベスト

写真は、引越しの荷物を運び入れる前に撮るのがいちばんです。

  • 家具を置くと、床や壁の一部が見えなくなる
  • 引越し作業でついた傷と、もともとあった傷の区別がつきにくくなる

引越し業者の作業で傷がついた場合は、業者に補償を求めることになります(引越しで荷物が壊れた・なくなったら?)。その区別のためにも、搬入前の写真が役に立ちます。

鍵の受け取りから引越しの日まで時間があるなら、その間に一度部屋に行って撮っておくと安心です。

部屋ごとの撮影チェックリスト

国のガイドラインには、入居時と退去時に使う「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」がのっています。そこに並んでいる場所をもとに、撮影する場所をまとめました。

部屋撮る場所
玄関・廊下天井、壁、床、玄関ドア、鍵、チャイム、下駄箱、照明器具、郵便受け
台所・食堂・居間天井、壁、床、流し台、戸棚、換気扇、給湯機器、コンロ、照明器具、給排水設備
浴室天井・壁・床、ドア、風呂釜、浴槽、シャワー、給排水設備、照明・換気扇、タオル掛け
洗面所天井・壁・床、ドア、洗面台、洗濯機置場、給排水設備、照明器具、タオル掛け
トイレ天井・壁・床、ドア、便器、水洗タンク、照明・換気扇、ペーパーホルダー
個室天井、壁、床、間仕切り、押入・天袋、外回りの建具(窓・網戸など)、照明器具
その他エアコン、スイッチ・コンセント、バルコニー、物干し金具、テレビ・電話の端子

(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の確認リスト(例)をもとに作成)

撮り方のコツ

  1. 部屋全体を撮る:入口に立って、部屋全体が入るように撮ります。四隅から撮ると、見落としが減ります
  2. 傷や汚れは2枚撮る:「どこにあるか分かる少し離れた写真」と「近くで撮った写真」をセットにします
  3. 大きさが分かるようにする:定規やペンなどを横に置いて撮ると、傷の大きさが伝わりやすくなります
  4. 日付を残す:スマホの写真には撮影日時が記録されます。ファイルを送ったり加工したりすると日時が分かりにくくなることがあるので、元の写真はそのまま保存しておきましょう
  5. 動画もあると便利:部屋をゆっくり歩きながら動画を撮っておくと、写真の撮り忘れを補えます

設備は、写真だけでなく動くかどうかも確認しておきましょう。換気扇・給湯器・コンロ・エアコンなどがうまく動かないときは、早めに管理会社に伝えます。

撮ったあとにやること

管理会社に伝える

ガイドラインの確認リスト(例)には、入居時に借主・貸主・管理業者が確認して記名する欄があります。管理会社からチェック表を渡されたら、写真を見ながら記入して返しましょう。

チェック表がない場合でも、見つけた傷や汚れは、写真を付けてメールなどで管理会社に伝えておくと、いつ伝えたかの記録が残ります。

退去のときまで保存する

入居時の写真は、何年も先の退去のときに使うものです。スマホの機種変更でなくさないように、クラウドなどにも保存しておきましょう。フォルダ名を「入居時_部屋の名前_日付」のようにしておくと、あとで探しやすくなります。

退去のときは同じ場所を撮る

退去のときは、荷物を運び出したあとに、入居時と同じ場所を同じ向きで撮ります。入居時の写真と並べて見せると、変わったところ・変わっていないところが分かりやすくなります。

よくある質問

入居時に写真を撮り忘れたら?

気づいた時点で、なるべく早く撮っておきましょう。家具の下など見えない場所は撮れませんが、入居から日が浅いほど、「入居時からあった」と説明しやすくなります。見つけた傷は、その時点で管理会社に伝えておくと安心です。

退去費用で納得できない請求をされたら?

まず管理会社に、請求の内訳と根拠を聞きましょう。話し合いで解決しないときは、消費者ホットライン「188」から、近くの消費生活センターに相談できます。くわしくは賃貸の退去の立ち会いと原状回復にまとめています。

契約書に「クリーニング代は借主負担」と書いてあったら?

ガイドラインは法的な拘束力を持つものではないので、契約書の特約も確認する必要があります。入居前に契約書を読み、分からないところは管理会社に聞いておきましょう。

まとめ

  • 入居時の写真は、荷物を入れる前に撮る
  • 国のガイドラインも、入居時の確認に写真などを使うことを重要としている
  • 部屋ごとのチェックリストを見ながら撮り、傷や汚れは「全体」と「アップ」の2枚
  • 見つけた傷は管理会社に伝え、写真は退去のときまで保存する
  • 退去のときは、入居時と同じ場所を同じ向きで撮る

引越しの前後にやることは、診断を使うと、期限の日付つきで一覧にできます。

あわせて読みたい

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」